【直江計略記】 終章〜「観光とは」

2019年04月01日(月)|01:03

上杉家筆頭家老の責務を預かる「やまがた愛の武将隊」直江山城守兼続である。

 

昨日、上泉主水泰綱の出立に際し生憎の空模様にも関わらず多くの御客人が当地を訪れて下された。

寂しさが残る中ではあるが笑顔の門出と成れたのもまた、皆々のお陰であると思うておる。

誠にありがとう御座り申す。

 

さて、此れより我が所見を述べさせて頂きとう存ずるが、例にもれず超長文である。

ある種の覚悟を以って挑まれたし。

 

では、昔話から参ろう。

 

慶長3年(1598年)1月10日。

豊臣秀吉公より陸奥国会津への移封の命が下り、本領地の越後から会津周辺120万石への国替えが行われ出羽国羽前米沢30万石を拝領し、某は米沢城初代城主に任ぜられた。

 

当時の米沢は、800戸余りの農耕中心のごく小さな町であったが、現在では、人口80000人を超える山形県でも指折りの伝統文化・産業・観光都市へと変貌を遂げ、今日に続いておる。

中でも観光の分野に於いての発展は目覚ましく、土地柄や伝統産業、食文化を活かした包括的な観光に注力し、日ノ本に「米沢」を知らぬ者なしと言わしめるまでに至ったのである。

言い換えれば、観光によって地域の魅力を見出すことに成功した都市でもあるのだ。

 

我々、「やまがた愛の武将隊」は、結成より本日で第10期を迎えるに至り、米沢を始めとする山形県全域の歴史文化、伝統などの魅力を、県内外、広くは国外に向けて発信する観光誘致活動を続けて参った。

其れ故、観光の本質について考えることもまた多い。

 

そもそも「観光」とは、一般に楽しみを目的とした旅行や行楽を指す。

近年では娯楽や保養のため、何より人生の余暇時間を有意義なるものとするため、あえて日常生活圏から離れ、未経験の「スポーツ」や「学習」、「交流」や「遊覧」などを行い、見聞を広め、新たな知見を得ることで人生の可能性を広げる一助とする体験型の観光は、全国的にも盛んに行われている。

 

有り体に申せば、「やってみたい願望に応える観光は人気がある」ということである。

これらの体験型観光は、ここ米沢に於いても国内外の旅客者を中心に人気を博し、「原方刺し子」や「米織の機織り、染め物」、「成島焼」などの伝統工芸のみならず、「田植え」や「稲刈り」といった地域特性や特産物を活用した「農林業体験」がある。他にも、雪国ならではの気候特性を押出した「スキー・雪遊び」なども根強い人気がある。

 

このような体験型観光は、参加者だけではなく実施団体側も含めた相互間にとって「貴重な経験」となり、「実体験を伴う大切な思い出」として深く心に刻まれることで、共有と体験を通した達成感が生まれ、地域愛を育み、ひいては新たな「米沢ファン」を生み出すきっかけにもなっている。

これは歴史を軸に其の土地の誉れを熱く伝える武士達と同じ時を過ごし、共に地域を愛し合うという意味に於いては「武将隊ファン」と呼ばれる方々にも通ずる所があるやもしれぬ。

以上を踏え、我が私見として思うに、「観光」とは「光を観ること」である。

 

ここ米沢を始め、全国津々浦々に存在する誉れに焦点を据え、見やすさ、感じやすさ、伝わりやすさ、特異性などを見出しつつ、時に競い合いながら、その土地独自の努力によって磨き上げることで一層輝きを増す「地域の光」ともいえよう。

現に山形県内には多種多様な観光素材があり、数えれば枚挙に暇がない。全国に目を向ければ更に増えてこよう。

 

しかしながら、如何なる事象に於いても物事には二面性がある。表があれば裏もあるということじゃ。

この二面性を、仮に「光」と「影」と称したとき、光の側面だけを観ることが、即ち「観光」なのであるならば、影とは何かについても同時に考えなければならない

 

例えば…想像致して欲しい。

 

二人の武士が刃を構え、眼前の相手に向かって、今まさに突撃を仕掛けんとする瞬間があるとする。

この時、どちらに光を当てて見るかによって…つまり、「どちらを応援するか」によっては観るものにとって、勝負の行方は「悲劇」となる。それだけではない。仮に光を当てた側が勝利を収め喜べたとて、後々になって影となった者の、涙無くしては語れなぬ並々ならぬ事情や、悲しき背景を見聞きしてしまえば、すこぶる後味の悪いものとなろう。

 

何を申したいかと申せば、「自身が観せたい光と他者が観たいと思う光は、必ずしも一致する訳ではない」ということなのじゃ。と同時に、大分化された光と影それぞれにもまた、光と影の側面が存在するということなのである。

 

繰り返しになるが、観光とは、「光を観る」ことである。

提供者の視点で「これが光だ」と並べたとて、押し付けになれば、「地域の光」は転じて「地域の影」となる。

応援を頂く者として、また、故郷の誉れと誇りを掲げるものとして、この事は厳に覚えておかねばならぬと某は思う。

慢心を良しとはせず、驕らず、絶えず高め、磨き上げた姿にこそ、人々は光を見出すのだと某は信じている。

そして、そのような先人たちの弛まぬ努力の積み重ねがあり、今日に誇れる上杉の城下町米沢の歴史として引き継がれているのではなかろうか。

 

思うに歴史とは、今を生きる人々の物語である。

語り継ぐ者なくして引き継がれる歴史は存在せず、故に現世を精一杯に生き、楽しみ、多くの光を観ることを通じ、新たな可能性に挑む姿こそ、後世の人々が守りたいと思う真の光になるのである。

 

 

さて最後となり申すが、やまがた愛の武将隊は本日より第10期となる。

 

先に「先人たちの弛まぬ努力の積み重ね」と申したが、これは我らとて同じ事。

人たちが御客人と共に積み上げた数々の思い出を「0の土台」とするならば、今を生きんとする我らはここに1を加え、こうして10期を迎えられる事に敬意と感謝を抱きつつ、堂々と「1」を歩み出すことこそが、歴史という恩義を報いることであると信じ、我が所見の筆置きと致す

 

その先の歴史とならん事を願いつつ

 

平成三十一年 四月一日  

やまがた愛の武将隊詰所 直江山城守兼続

 

 

 

コメント
  • 2019/04/10 3:20 AM
こんばんは。ついに第10期が始まったのですね。第3期から応援している身としては、何だか感慨深いです(´ω`)
今期も、愛の武将隊の活躍を願い、応援しております。また会いに行きたいです。
  • ジャンボ
  • 2019/04/01 8:43 PM
福島県も色々、美味しい和菓子がありますが、山形県、特に米沢市は美味しい和菓子がたくさんあり、スゴいし魅力的です。

南東北地方三県、切磋琢磨して、協力して、交流して、文化、観光を盛り上げていきたいですね。

そういえば、東北地方六県で、お互いが話し合うと、山形県が評判良いみたい。で、福島県と(私の故郷だから福島県を誉めないとね)。

母親が入退院の繰り返し。なかなか、皆さんの前に顔を出せませんが、なるべく行けるようにしたいです。(仙台の伊達武将隊さんもあるから、どっちに行くか迷いますが)

なかなか、よい文面が書けず申し訳ないです。とにかく、皆さんを応援してます。
  • SAI
  • 2019/04/01 1:53 PM
兼続様、やまがた愛の武将隊の皆様、先日は上泉様の出立と年度末最後の出陣にあたり2日間…大変多くの時間を設けてくださりありがとうございました。

気温は寒かったとは思いますが、とても和やかで温かい雰囲気に包まれた時間でした。誠にありがとうございました。

また、兼続様のおもてなしに対する徹底した取組には改めて感服いたしました。

数年前のことですが個人的に忘れられない大切な思い出があります。
須賀川の牡丹園をふらりと訪れた際、PRステージが始まる前、会場内のお客様一人一人に言葉を掛けて回っていらっしゃるお姿を拝見して「凄いな!」と、とても驚いたこと。
そして、当時はそれほどお会いしたことが無かったにも関わらず、とてもウェルカムに迎えてくださったこと、本当に感激しました。

ずっとずっと、お礼を言いたかったのです。今さらではございますが、改めて御礼を申し上げます。

先日の2日間の中でもそうでしたが、昨年の詰所開放の際も、兼続様は「話せなかった者はおるか?」と周りを気に掛けていらっしゃいました。
数年前に拝見した兼続様のおもてなしに対する徹底した姿勢、愛の武将隊においても続けていらっしゃること、本当に素敵だと思います。

何においてもそうかもしれませんが、何を求めているのかにもより、全ての人が満足することは難しい…かもしれません。
しかしながら、様々な面でぶつかる壁に対し、兼続様は以前色々と縫ってまいってきたと仰っていましたが、やはり応援する者としては兼続様や愛の武将隊の皆様がやりたいこと、成し遂げたいことなど課題や目標が叶うことが何よりも嬉しいです。

壁を壊すことも新たに何かを築くことも一筋縄ではいかないことばかりかもしれませんが、兼続様のその強い意思と情熱を以てすれば必ず賛同する仲間が集まるものだと思います。

昨年は特に、今までの皆様の活動が小嶋総本店様をはじめ、地元の企業や有志団体、行政等々様々な面で実を結び始めたと感じました。本当に嬉しく思いました…。

景勝様、実頼様、兼続様が継続して活動なさっていること、兼続様が3年以上に渡り直江兼続として関係各所との交流などを通し邁進なさってきたことが信頼を結び、着実な成果として現れてきていると思います。

新年度早々に兼続様の決意表明のような気愛の入ったこの度のブログ、感激しました。

影の中にも本来は光を当てるべきものがあるのかもしれません。

山形県、そしてやまがた愛の武将隊の皆様が本年度もさらに輝きが増すようお祈り致します。

長々と失礼致しました!

  • あきこ
  • 2019/04/01 7:47 AM
やまがた愛の武将隊が第10期を迎えられました事、お祝い申し上げます!
二日間の上杉神社おもてなし、お疲れ様でございました。
自分の体調は良いのですが、家族が良くないので、伺えませんでした!
出立をされる方を見届ける武将ファンがいて、武将隊がいると、画像や動画を見て、強く感じました。

観光について語る長文。
読ませてもらいました!「光を観る」それが光なら影がある。影とは何か?
考え深い。色んな観光の形があるけれど、何を目的かで変わってくる!
武将隊に出会い、地元の太鼓に関わったおかげで、昔より、歴史や文化、伝統を知りたいと思うようになりました。
山登りを地元の山で一度してみたのですが、山形なんか綺麗だろなあ〜と!
まだまだ米沢の事を知らないので、体験型とかいいですね!
長文お疲れ様でした。
これからもファンの一人として、応援していきますね!
米沢の道の駅や上杉まつりに伺えたらと思っております。
  • つき
  • 2019/04/01 2:46 AM
兼続さまこんばんは。
昨日は雨の中でも心温まるおもてなしと素晴らしい演武を魅せていただきありがとうございました。
愛の武将隊第10期の始まりですね。私は皆様を知ってまだ一年にも満たない新参者ですが、これからも応援する者として一緒に月日を重ねていければ…と思います。武将隊の皆様を通して米沢の魅力を知りました。米沢に足を運び、武将隊の皆様に会い、観て食べてたくさんの元気をいただいています。まだまだ知らない事ばかり、これからも足を運び応援していきます!
  • 愛音
  • 2019/04/01 1:57 AM
兼続様、やまがた愛の武将隊第十期期首にあたり、お祝い申し上げます。
上泉様のご出立は惜別の思いですが、きっと素敵な旅路を歩まれると願っております。
しかし、大変なお天気でした…皆様は何事もなかったでしょうか。

事象の二面性とは、やまがた愛の武将隊が題材となさっている事でもありますね。
上杉、最上、それぞれの視点での正義があり、背景がある事。不幸な出来事もあったでしょうが、だから山形は地域によって特色豊かでもある。これも二面性と捉えられるかもしれませんね。

また、発信される情報が誰にとって魅力的であるのか。受け手側なのか、発信側なのか。
相手のニーズに合ったものを、画一的に発信するのは中々難しく、広告などが研究されているのもこの為と思います。しかし、人と人とが会話することで、この難易度は下がります。正に皆様のご活躍が、これを叶えるのではないでしょうか。

決してなだらかではなかった道でしょうが、「愛の武将隊」が築いてこられたものを、今後更に高めてゆかれる事を楽しみにしております。
先達の築いてこられたものに感謝を抱き、今の皆様を応援してまいります。
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